青い空には少しの曇りもなくて
穏やかな風がカーテンを揺らしている。
天気までが祝ってくれるなんて、やっぱり俺はヒーローだ!
なんて事を考えていたら、けたたましい電話のベルが聞こえた。
誰だい、全く。
「What's up !? 朝からいったい、ダレなんだい!」
「僕だよ、カナダだよ。
ほら、今日は誕生日だろう?兄弟として一番におめでとうと言いたかったんだ」
「ありがとう!嬉しいんだぞ」
他愛のない話を少しして、電話は終わった。
兄弟からの電話はとても嬉しいけれど、本当はあの人に一番に言って欲しいと思った。
友人からのおめでとうを告げる電話やメールの応対に追われて、気が付いた時には空は茜色を数滴混ぜた様な模様になっていた。
嬉しいけれど忙しすぎやしないかい!?
夕方からのパーティーまでは、ゆっくりしよう。
それにしても、あの人•••イギリスからはまだ何の連絡も来ない。
そりゃあ、今日は君にとって嫌な日かもしれないけれど。
それでも俺にとっては大切な日なんだ。
君には絶対に祝って欲しいんだぞ。
なんて考えている内に、日はどんどん沈んで、パーティーの時間になって、それなのに君はまだ来ない。
招待状は出したから、来るよね?
「君はどう思うー、日本」
「さぁ、私にはなんとも」
東洋の友人はいつものことだけれど言葉を濁して。
「誕生日なのに元気ないねー、アメリカ
お兄さんさんが元気づけてあげようか?」
「フランスからの元気はいらないんだぞ」
「•••はっは~ん、さては今年もまだイギリスの野郎に祝って貰えてないんだな」
「そうなんだよ!
招待状だってちゃんと出したのに、ヒドい思わないかい!?」
「誰がだ」
「!?」
フランスに愚痴る事に夢中になっていたら、背後から一番嬉しい声がした。
「イギリス!!」
俺が今日一番に逢たかった人はいつもよりもフォーマルな服装をし、手に薔薇の花束を持っていた。
「うわ、坊ちゃん薔薇かよ」
「ううううるさい!
これは誕生日プレゼントとかじゃなくて!庭で綺麗に咲いていたから届けに来ただけで!
別にアメリカの誕生日を祝いにきたんじゃないんだからな」
「はいはい。
じゃあお邪魔なお兄さんは向こうの可愛い子でも口説いてきますか」
俺の気持ちを読んでくれたのか、フランスは向こうへ行った。
「ほら、これ、やるよ」
ほおを赤くしながら俺に花束を差し出す彼に、俺は抱きつきたかったけど、とりあえずは止めておいた。
まだ機嫌を損ねたくないからね。
「ありがと、イギリス」
「•••ばかぁ」
お礼を言って赤いほおにキスをしたら怒られた。
可愛いすぎるんだぞ!
「で、今日一日君は何をしていたんだい?」
朝一番で逢たかったと言うと、彼はそっぽを向いた。
「だって、今日は!
お前が俺のところからいなくなった日だから•••」
「だから?」
「•••誰にも会いたくなかったんだよ」
急に泣きそうな顔をし始めた君は、でも可愛い。
「ごめんね、なんて言わないぞ。
だって、俺は君のことが好きだから。
君と一緒に、並んで、支えて行く為に俺は独立をして、生まれたんだ」
「それでも、俺は寂しいよ」
笑うイギリスはまだ泣きそうだ。
「今日は特別な日なんだ。
これからはずっと隣りにいるから、笑って欲しいんだぞ」
「だけどな•••うわっ」
まだ何か言おうとするから、俺はイギリスを、今度こそ抱きしめた。
「毎年言っているけれど!
昔の事より、これからを見て欲しい!
君はこれからもずっと、過ぎた事を思って祝ってくれないつもりかい?
そんなの嫌なんだぞ。
俺は、俺の誕生日はずっと君に一番に祝ってもらうって決めているんだ。
だから、ね?」
俺の勢いに押されるように、君は首を少し縦に動かして。
「仕方ないから、祝ってやるよ」
「本当かい!
じゃあ、来年からは君が一番に俺におめでとうを言って、一番に逢に来て。
それで一緒に美味しいケーキを食べよう」
そして、君が俺にキスをしてくれたら最高だね!
無駄に長くてすみません。
色々恥ずかしいですね。
メリカ誕生日おめでと!!
大分遅いけど!!
感想とか貰えたら嬉しいな。
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